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2010年4月18日

『2ちゃんねる』の中高年化?

2010年4月13日付けのJ-CASTニュースに“若者の2ちゃんねる離れ 中高年だけ残る「暗い未来」”という記事が掲載されていました。
“若者の2ちゃんねる離れ 中高年だけ残る「暗い未来」”

J-CASTニュースは2009年5月27日付の記事で、「2ちゃんねらー」の分析をした。グーグルが提供する「アド・プランナー」を使って調べたところ、年齢層は35~44歳が最も多かったことが分かった。35~44歳が34%と最も多く、25~34歳(17%)、45~54歳(同)、0~17歳(14%)と続いている。それから約1年後、再度調べてみると年齢層に若干の変化が見られた。最も多いのは35~44歳で全体の36%を占めている。そして2番目となったのは、45~54歳の22%だ。もはやユーザーの中心は40代、さらには50代の「中高年」と言えそうだ。

【引用:J-CASTニュース】
但し、2チャンネル高齢化への警鐘は今に始まったわけではなく、2008年9月の時点でもネットレイティングスの調査結果が産経新聞に取り上げられていました。
“2ちゃんねらーの4割は女性、30-40代が中心 高齢化のせい?”

2008年7月度の同社調査によると、「2ちゃんねる」利用者の性別割合は男性が60%、女性が40%(インターネット全体の割合は男性55%、女性45%)。また、年齢層別の割合は19歳以下が16%、20-29歳が11%、30-39歳が28%、40-49歳が29%、50歳以上が16%と、30-40代が主力ユーザーであることが判明した。

【引用:産経新聞】
ネットレイティングスのパネラーによる調査の詳細結果はわかりませんが、今回のJ-CASTのニュースでは、Google(グーグル)のad planner(アドプランナー)が利用されていたので、自分でも検証してみました。

ad plannner(アドプランナー)

ad planner(アドプランナー)とは、もともと広告主がどのサイトに広告を掲載すればよいかを検討するためのツールです。そのために必要なアクセス数(訪問者、ページビュー)、訪問者の属性(性別、年齢、最終学歴、年収)などが把握できます。

取得データについては、How DoubleClick Ad Planner data is generatedに記載されていますが、

・Google Analytics(使用サイトの場合)
・パネラー
・市場調査

を基にアルゴリズムで算出しているとあります。

アドプランナーの利用方法

ad planner(アドプランナー)の使い方は至極簡単です。http://www.google.com/adplanner/を開いて、調査対象サイトのURLを入力するだけです。右側にログインボックスがありますが、ログインの必要はありません。


そして結果が表示された画面で日本からのアクセスだけに絞るために"View Data For"で"JAPAN"を選択します。下記が画像右下には2月時点のデータであることが記載されています。

2chの閲覧属性

2月時点のデータでも確かに35-44歳がピークで37%を占めています。

2ちゃんねる利用者の年齢/性別


しかし、これだけで2ちゃんねるが中高年化しているといえるのでしょうか?アドプランナーのデータもととなっているパネラーや市場調査の利用者像(属性)がわからないので正確な判断ができません。そこで日本で最もアクセス数が多いYahoo!を調べてみます。

Yahoo!利用者


Traffic statistics
All traffic statistics are estimates.
CountryWorldwide
Unique visitors (estimated cookies)
74M74M
Unique visitors (users)
74M73M
Reach
83.2%4.8%
Page views
27B27B
Total visits
1.7B1.7B
Avg visits per visitor
2323
Avg time on site
18:2018:20
Yahoo!のリーチ率は83.2%で、日本のインターネット利用者の8割以上がYahoo!を利用していることがわかります。Yahoo!を国内インターネット利用者の平均像として捉えて比較をしてみます。

Yahoo!利用者の年齢/性別


しかし、ネット利用者の8割がアクセスするYahoo!でも18-24歳は4%、25-34歳でも12%しかいません。このデータを正として考ると、

【仮説】
1)若者はインターネットを閲覧しない
2)若者は携帯でしかインターネットを閲覧しない
3)若者は学校や職場でしかインターネットを閲覧しない(パネラーは自宅)
4)若者はYahoo!を利用しない

ということが考えられます。

参考として、総務省が毎年実施している「H20年度報告書の通信利用動向調査(世帯編)」の世帯構成員の過去1年間のインターネット利用経験をグラフ化してみると下図になります。

年齢区分での相違はあるものの上記の仮説1)は棄却されそうです。2)~4)の仮説については、検証できませんが、このまま ad planner(アドプランナー)のデータを使って比較していきます。

J-CASTの記事は、

1.最も多いのは35~44歳である。そして2番目は45~54歳
2.35~44歳、45~54歳も前回調査時より増加している

∴2チャンネルは中高年化している

と、いった論理構成になっていますが、Yahoo!のデータからみると、高齢化は、2チャンネルに限ったことではなく、インターネット利用者全体が抱える問題であるということになります。


ad planner の属性別データの信憑性の問題はさておき、Yahoo!を基準として捉えて、年齢別構成比で比較をすると下記のようなグラフが描くことができます。
※注 1-(2ch年代別構成比/Yahoo年代別構成比)により算出

上記のように可視化すると、2ちゃんねるは、インターネットアクセス者の中では、若年者層に強いけれど、35-44歳の層にも支持されていることがわかります。

35-44歳というのは、10年前の“2ちゃんねる”黎明期に若者だったユーザが利用し続けているのではないかということが想像できます。

このように、
データの見方を少し変えるだけで解釈が異なってしまう場合があります。定量的に事物を解釈するのは大切なことではありますが、安易に利用すると間違った解釈をしてしまうこともあるということへの意識が必要です。

今日の一曲

アルバム“Helen Merrill”は、Helen Merrill(ヘレン・メリル)の代表作で、スタンダート曲を歌う甘く切ない声は、自分が大人になったということを自覚させられます。

2曲目の“You'd Be So Nice to Come Home To”はあまりにも有名ですが、個人的には、“Yesterdays”の切なさが堪りません。

クリフォード・ブラウンのソロも、気持ちよく身体にゆっくりと染み渡っていきますが、アルバム全体の心地良さを引き出しているのは、クインシー・ジョーンズのアレンジの賜かと思われます。

若き才能がぶつかりあった秀作といわれるこのアルバムは、ジャズファンでなくとも聴く価値がある1枚です。

Helen Merill 「Yesterdays」

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