Translate

2009年5月6日

Wiiの間

5月1日からWiiチャンネルに新しいサービスとして「Wiiの間 」の提供が開始されました。「Wiiの間 」とは「Wii」と「お茶の間」の造語で、任天堂と電通からなる新しい動画配信モデルと広告事業モデルを目指したサービスです。

5月6日現在では、下記の9チャンネルとセブン&アイ、HONDAなどが配信する企業チャンネルが、提供されています。

・動物たち
・Wiiの間クッキング
・からだに聴く小噺
・修理、魅せます。
・あさちゃん
・BIG STEP!
・The Speach ~言葉の力~
・世界びっくりプライス
・5つのたからもの ~世界の子どもの物語~

新しい動画配信モデル
ネットの世界で定着した動画配信を同形として展開するのではなく、「家族」「テレビ」「インターネット」の融合が目指されています。家族というキーワードは、いままでのネットの世界にはなかった概念です。配信スタイルがバーチャルのお茶の間(時刻と天候が連動)であったり、動画の評価を家族で行えるということも、より家族でテレビを囲んで見るスタイルを意識させています。

また実際の人物をMiiにしたコンシェルジェによるオススメも新しいリコメンデーションの方法かと思います。最近ネットでも、人物動画とFlashアニメーションを融合したPIP(Person in Presentation)による商品紹介なども数多く見られますが、これよりも一歩先んじてると思いました。

昨年中間期のWiiの日本での販売台数は167万台とあります。またWiiを使ったインターネットアクセスは、インターネット白書2008 によると

Wiiによるインターネット利用率は全体の7.7%を占めます。パソコンインターネット利用者におけるWiiの所有率は17.7%で、Wii所有者の43.5%がインターネットを利用していることになります。
とあります。昨今、キャンペーン等でネット化の促進を図っていますが、現時点での数字で推測されるWiiでのネット利用者は、70万人強です。但し、世帯で複数台を保有していることはあまり考えられないので70万世帯(世帯普及率は、2.5%)と判断できると思います。こう見るとあまり大きな数字には見えませんが、高額なゲーム機を保有し、ネット接続ができるファミリー層と考えるとビジネス的に成り立つ数字であると考えられます。課金システムの仕組みも既に構築されていますので、有料コンテンツ化は容易であり、実際に任天堂も有料化を示唆しています。民放キー局5局からも番組提供されるとありますので、ファミリー層向けのVODとなるのでしょうか。
新しい広告モデル
任天堂の岩田聡社長曰く 、新しい広告の姿として、受動的ではなく、エンターテイメントとして能動的に選択させる広告と謳っています。マス広告最大手の電通との協業というところも見逃せません。現在提供されている動画は、企業活動やCSRなどを家族で見られる内容とし、簡易アンケートもありますが、内容的には目新しいものではありません。ニンテンドーDSと連携させたオンラインクーポンなどの提供も予定されているようですが、今後に期待です。

マス広告の場合は、費用対効果なでの評価が難しいですが、このような広告配信モデルが普及すると、広告閲覧数、広告閲覧者のプロフィール、広告の評価などを得ることができるようになります。消費者が望む広告とは何かということが定量的に評価することができます。また15秒や30秒といった時間的制限に縛られることもなくなります。テレビ東京で、この春も放映していた Frend-Ship Project のCMも電通の企画だったような気もしますが、新しい広告の姿を垣間見ることができました。昨年春の定年をテーマにした夫婦の絆 は、ANA、読売新聞、PLATINAMUの3社協同のCMで、思いっきり商品名が告知されていますが、嫌らしさを感じることなく、感動できる作品として仕上がっていました。このような広告であれば能動的な選択も十二分に可能だと思います。

しかし、能動的に選択させる広告を実現しようとした場合には、その選択方法に工夫が必要です。企業数が少ない場合は、現在のような企業チャンネルとしての提供方法で問題はないかと思いますが、企業数、広告数が増えた場合には、どのように選択を促すかが課題となります。「Wiiの間」に登録されたMiiのプロフィール(性別、年齢、地域、家族構成)、参照した動画、動画の評価、協調フィルタリング、更には購入しているソフト、参照しているニュース、Wii利用時間などから行動ターゲティング的な広告配信がされると面白いのですが。




0 件のコメント:

コメントを投稿

アクセス上位(過去7日間)